2020年10月27日 【所蔵品紹介 4】古染付双菊形向付
本日は、古染付を紹介いたします。
外型を使用した型押しの技法により、菊花を象った向付です。
花弁の線に沿って濃染めしています。
絵付けをよく見ると、1点ずつ花弁の形状・枚数・重なり方が異なっています。
古染付(こそめつけ)は、中国明時代の末期、天啓期(1621~1627)を中心に崇禎期(1628~1644)頃までの間に、景徳鎮民窯で焼かれた染付磁器の一群です。形状や意匠が自由奔放なやきもので、日本の人々に愛されてきました。織部の形に似た手鉢や扇形の向付などがあることから、日本の茶人からの注文によって作られたものもあると考えられています。
石洞美術館の所蔵品の多くは、実業家で古美術愛好家でもあった石洞山人こと佐藤千壽(1918~2008)が蒐集したものです。佐藤はこの向付に関して、このように記しています。
「菊の花を二つ並べた形―先ず線描で花弁を画き、ゴスのたらしこみで花全体にぼかしをつけている。藍色まことにさわやかで、赤身の魚でも、あるいは白身の魚でも、つくりを盛りつけたら、さぞかし映えるであろう。花が二個で、従って皿の窪みが二つになっているため、盛り分けにも効果的である。」
『佐藤コレクション 古染付』MOA美術館、1984年、p.112
展示されている作品をじっくりと鑑賞するのも楽しいですし、
自分だったらどのような料理を盛りつけようかな…と考えるのも、ワクワクしますね。